夏のうだるような暑さが嘘だったかのように、朝晩はひんやりとして、日中はとても過ごしやすい季節になってきました。早いもので、3年生はあと4か月で卒業です。1、2年生のみなさんは、1つ上の学年に進級することになります。今を充実させるために、引き続き落ち着いた学校生活を送ってほしいと思います。

 さて、今日は、『ちょっとの我慢で未来が変わる』という言葉を紹介します。

 先月、北信越高校野球大会が新潟県で行われました。福井県勢の3校が、全てベスト4に入るという快挙を成し遂げました。特に、県大会で3位だった北陸高校が、我慢強い『粘り』の野球で、34年ぶりに北信越大会で優勝を果たしました。優勝した北陸高校の林監督は、就任当初から『ちょっとの我慢で未来が変わる』という言葉を繰り返し選手に言い続けてきたそうです。「このような忍耐は、日頃の練習から養っていく。筋肉を高めるトレーニングでは、疲労がたまった中でも、もう一回行う。シートノックは、誰かがエラーしたら最初からやり直す。など、普段から全力疾走し、一球を大事にする。」ということを実践してきたそうです。そうすることで「練習時間は変わらないけど、選手たちの意識が変わり、行動が変わってきた。行動が変わったら、ピッチャーを中心とした堅い守りでとれるアウトを当たり前のようにとれるようになり、当たり前のことを当たり前にできるようになることで、そつのない野球ができるようになった。そのことが相手にプレッシャーを与え、打撃にリズムを作り、勝利を呼び込み、今回の優勝に繋がった。」とのことです。

 林監督以外にも、これに似たような言葉を唱えている人がいます。アメリカの心理学者のウィリアム・ジェームズです。

『心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。』

 この言葉を座右の銘として成功を収めたのが、石川県が生んだ元大リーグのスーパースター松井秀喜さんです。松井さんは、高校時代に当時の星稜高校野球部の山下監督からこの言葉を教えられ、考え方を変えて、行動を変えることを実践したそうです。これを医学的に解釈すると、「心の状態を変えると、脳の特定の領域に新しい遺伝子が出現し、細胞が新生してきて、免疫やホルモンの状況が変わり、さらに考え方や行動も変わって、結果的に運命が変わる。」ということになるそうです。

 逆の捉え方をすると、マイナスの心で、マイナスの行動をとっていれば、マイナスの人生になってしまうということです。

 みなさんには、将来、幸せな人生を送ってほしいと思っています。優良企業に就職するとか、有名大学に入学するとか、議員や社長などの社会的に地位のある人になる、ということを皆さんに望んでいる訳ではありません。自分に与えられた役割を確実に果たして、人の役に立つ行動ができ、周りの人から信頼され、自分の仕事に誇りをもって、心から人生を楽しめる『人生の成功者』になってほしいと願っています。

 『ちょっとの我慢で未来が変わる』のです。そのために、学校に遅刻気味だった人は、もう少し早く登校する。授業の受け方が後ろ向きだった人は、授業を積極的に受ける。課題を提出できなかった人は、必ず提出するようにする。部活動をさぼりがちだった人は、ちょっとだけこれまでより頑張る。ということを実践してみてはいかがですか。

校 長  山 本  寛