校庭の木々の蕾もほころび始め、新しい春の訪れを感じられる今日の佳き日、本校PTA会長 蓑輪貴江(みのわ たかえ)様、本校同窓会長 松田勇二(まつだ ゆうじ)様をはじめ、多数のご来賓の方々および保護者の皆様をお迎えして、福井県立足羽高等学校 第四十七回 卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより在校生、教職員にとりましても、大きな喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与されました、百四名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。教職員一同、皆さんの晴れの日を心から誇りに思い、祝福いたします。

 また、この日まで、お子様を支え、励ましてこられました保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。また、これまで本校の教育活動に対しまして、深いご理解と、温かいご支援・ご協力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。「一礼」

 さて、卒業生の皆さん、足羽高校での3年間を思い起こした時、どのような光景が思い浮かんできますか。

 クラスの団結を深めた「文化祭や体育祭」

 歴史や言語、文化について理解を深めた「修学旅行や語学研修」

 汗と涙を流しながら、技能を高め合い、友情を育んだ「部活動」

 毎日の授業や、日頃の努力の成果を試した定期考査や資格試験 

 先生や友人との何気ない語らい ゆりの木坂の四季折々の風景

 うれしかったこと、楽しかったこと、あるいは苦しかったこと、つらかったこと、今、一つひとつが走馬灯のようによみがえっていることと思います。

 それらは、もう思い出でとなり、二度と味わえないもの、やり直しができないものになってしまいました。

 しかし、その思い出は、生涯を通しての大切な「宝」となり、皆さんの人生を彩るとともに、きっと皆さんを支え続けるものになってくれることでしょう。

 今日、新たな門出にあたり、皆さんに期待したいことを二つお伝えします。

 一つは、夢や目標を常に持ち続け、実現のための努力を惜しまず続けてほしいということです。

 卒業生のみなさんは、さらに勉学に励む人、社会人としての第一歩を踏み出す人、それぞれの道に進みます。皆さんの生きる時代は、将来の予測が困難な時代と言われていますが、皆さんには無限の可能性があります。いずれの道であっても、自分自身の可能性を信じ、夢や目標をかなえるために努力を惜しまない、そんな自分であり続けてください。本校の教訓である「進取、積極、創造」にあるように、自らが進んで実践し、新しい境地を切り拓く、新しい価値を生み出す人生を歩んでください。

 もう一つは、困難なときほど「しなやかに、したたかに、しぶとく」あってほしいということです。

 先日打ち上げに成功した次世代型ロケットH3には、県内企業が開発した超小型人工衛星が搭載されており、二週間後にはいよいよ北陸新幹線が福井・敦賀に延伸となるなど、ふるさと福井の活性化が大いに期待され、みなさんの活躍の場が広がる時代となりそうです。

 しかし、これからの人生ではいろいろな困難が待ち受けていることでしょう。へこたれそうなとき、心が折れそうなときもあるかもしれません。そのような時には、3つの「し」、「しなやかに」「したたかに」そして「しぶとく」を心がけてください。「柔軟で」、「強く」、「粘り強く」あってください。その素地は、皆さんがこの足羽高校の3年間で、「毎日 長い坂道を登ってきたこと」「苦しい練習に負けずに、部活動に参加して努力を重ねたこと」「文化祭で、友人とぶつかりながらも素晴らしい作品を作り上げたこと」「厳しい授業や多くの課題に耐え抜いたこと」などを通して、十分に備わっていると思います。たとえ困難に直面しても、失敗を恐れず様々なことに果敢にチャレンジし、素敵な大人に成長し、ふるさと福井の新しい姿を創り上げていくことを期待しています。

 皆さんは普通科・国際科としての足羽高校最後の卒業生となります。節目の年に卒業される百四名の皆さんの洋々たる前途が健やかに、そして幸多からんことを祈念し、式辞といたします。

令和6年3月1日 

校長 竹本 俊穂