今日で2学期が終了します。各自がこの学期を振り返り、良くなかった点は反省して改善し、良かった点は継続してください。明日から冬休みになりますが、心と体を休めて立て直し、学年末の3学期を充実したものになるようにしっかりと準備をしてください。

今日は、脳について話をします。

人間の脳は、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳の三層構造になっていて、それぞれが異なった働きをしていると言われています。これを『三位一体脳モデル』というそうです。このように、私たち人間は、3つの脳を使って、感じたり行動したりしています。

爬虫類脳は反射脳とも呼ばれ、爬虫類が持つ原始的な脳で、呼吸・体温など生命の維持をコントロールしている脳です。哺乳類脳は感情脳とも呼ばれ、哺乳類が持つ脳で、好き嫌いなど原始的な感情をコントロールしている脳です。人間脳は理性能とも呼ばれ、論理的な思考をコントロールしている脳です。これら3つの脳は、爬虫類→哺乳類→人間という進化に伴って、より高度な脳の機能を獲得してきた結果、人間に備わったと考えられています。

私たち人間の脳には、これら3つの脳が同居していますが、この3つの脳は、お互いに作用しながら私たち人間を動かしています。その力関係は、人間脳 < 哺乳類脳 < 爬虫類脳 と、爬虫類脳が最も強い意思決定権を握っていると言われています。私たち人間は、ほとんどのことを論理的に自分の頭で考えて行動しているつもりかもしれませんが、実際はこの爬虫類脳や哺乳類脳に影響を受けながら生きているのです。

たとえば、期末考査前で勉強をしなければならないのに、ゲームをやってしまったというように、頭ではわかっていても行動できないのはなぜでしょうか。それは、人間脳は勉強が自分の将来のために大切なことだと分かっているのに、哺乳類脳が勉強よりゲームのほうが楽しいと人間脳を支配し、より強い意思決定をしているからなのです。

人間脳は、論理的な思考をコントロールして、自分を成功させようとする行動に導いてくれる脳であるので、哺乳類脳をうまくコントロールできれば、豊かな人生を送ることができるようになります。逆に、これらをコントロールできないと、短絡的で惰性的な人生を送ることになってしまうかもしれません。

人間脳が哺乳類脳をうまくコントロールできるようになるためには、起こったことの意味を考える習慣づけをすることが必要です。例えば、宿題を提出したのに、先生から褒められることなく宿題の出来についてアドバイスされたとき、「せっかく宿題を提出して褒めてもらえると思っていたのに、アドバイスされた。腹が立つ、やる気なくす。」と考える人は、哺乳類脳に支配されている人なので注意が必要です。哺乳類脳が褒めてもらえなかったことだけを捉えて不快と判断したからこのような考えに至ったのです。

このような人は、なぜ、先生がアドバイスをしたのか、その意味を考えるようにしてください。人間脳を使ってアドバイスされた意味を考えれば「先生はあなたのことを大切に思ってくれていて、あなたにもっと力を付けてほしいと思い、アドバイスしてくれた」ということに気付くことができるはずです。それに気付けば、腹を立てるのではなく、あなたのためにアドバイスをしてくれた先生に感謝することができるようになるのではないでしょうか。そして、アドバイスを素直に受け入れて勉強し成績が伸びて、自信もついてくる、というようにどんどん人生が好循環していくのです。

あとはそれをどう継続して実践していくかということになりますが、人間は習慣の生き物と言われています。習慣は繰り返すことで獲得されます。人間脳を活用して起こったことの意味を考えるという習慣を獲得できれば、その先にはきっと、楽しくて豊かな人生が待っていますよ。

最後になりますが、明日から冬休みに入りますので、いつもの約束です。1月11日には、全員が元気な姿で登校することを約束してください。終わります。

校長 山本 寛