校庭の木々の蕾もほころび始め、新しい春の訪れを感じられる今日の佳き日、本校PTA会長様、同窓会長様をはじめ、多数の保護者の皆様をお迎えして、福井県立足羽高等学校 第四十五回 卒業証書 授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより在校生、教職員にとりましても、大きな喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与されました、九十五名の皆さん、卒業おめでとうございます。教職員一同、皆さんの晴れの日を心から誇りに思い、祝福いたします。

 また、この日まで、お子様方を支え、励ましてこられました保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。また、これまで本校教育に対するご理解と、多大なるご支援・ご協力を賜りましたこと、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 さて、卒業生の皆さん、足羽高校での3年間の学校生活はいかがでしたか。様々な想いが頭の中を駆け巡っていることと思います。皆さんは、入学と同時に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で長期間の休校を余儀なくされました。時が過ぎてもその状況はとどまることはなく、皆さんの学校行事が次々と中止や延期、制限付きでの実施に追い込まれました。楽しみにしていた修学旅行や語学研修、学校祭だけではなく、就職や進学への準備や対策においても多くの不都合が生じることになりました。

 この様な大変な情勢が続く中ではありましたが、皆さんは懸命に困難に向き合って、集会等で折に触れて伝えてきた「前向きに ひたむきに」行動することを実行してくれました。特に、今年度は最上級生として落ち着いた雰囲気の学校を作ってくれました。6月のインターハイ県予選では、どの部活動もこれまでにない良い成績を残しました。9月には、発表者を大切にして一体感があり温かみのある学校祭を作り上げました。学校祭が終わると、就職試験や大学入試に向けて受験勉強や小論文、面接の練習に真剣に取り組みました。このような皆さんの前向きな姿は、我々の誇りであります。

 冬の時期に、寒い日が三日間続くと、そのあとに比較的暖かい日が四日間続き、これらを繰り返しながらゆっくりと春になっていくという意味の「三寒四温」という言葉をもじった言葉があります。カンは感動の感、オンは恩恵の恩と書き、「三感四恩」です。「三感」とは、感激・感謝・寛容のことです。感激のない日々はつまらなく、感謝をする気持ちをもたない人は心が貧しくなり、周りの人と仲良くできる心の広さがないと人を傷つけてしまいます。「四恩」は、親の恩・友人の恩・師の恩・社会や自然に対する恩を持つことです。この「三感四恩」を心に留めながら、温かい思いやりの心を大切にし、豊かな人間性を備えた人になってください。そして、自立した社会人として地域に貢献できる人になって、ふるさと福井を支える人材になってほしいと思います。人は誰かに支えられながら生きていきます。今は、周りの人に支えられながら生きていると思いますが、人として立派に成長して今度はその恩を周りの人に与えられるような人になってほしいと思います。

 これから、いろいろな苦難が皆さんを待ち受けていることでしょう。そんな時でも、この足羽高校での3年間に、「毎日 長い坂道を登ってきたこと」「厳しい授業や多くの課題に耐え抜いてきたこと」「苦しい練習に負けずに、部活動に参加して努力を続けてきたこと」「文化祭で、友人とぶつかりながらも素晴らしい作品を作り上げたこと」「体育祭で、学年やクラスをといて勝敗を競い合ったこと」など、これらすべての足羽高校で体験した宝物を皆さんの将来の糧にしてください。そして、この丘の上には皆さんが確かにかけがえのない時を過ごした学び舎が、いつまでも皆さんを見守っているということを心の支えにしてください。皆さんが卒業することは本当に寂しいですが、それぞれ新しいところでのご活躍を期待して式辞とします。

令和 5年 3月 1日

校 長  山 本  寛