留学報告(3)
2026年6月8日
宮川 友里
メキシコに来て約9か月が経ちました。あと1か月で帰国ですが、正直なところ帰りたくありません。それほどメキシコという国は魅力的です。
メキシコの公用語はスペイン語ですが、来た当初の私は何もわかりませんでした。しかも、私の住んでいる地域では英語を話せる人があまり多くなく、最初は会話が全く成り立ちませんでした。自分の成長を感じたのは、来てから2か月ほど経った頃です。それまで海外旅行先で聞こえてくるただの「外国語」だったものが、「スペイン語」として聞こえるようになりました。もちろん、その頃はまだ会話をするたびに知らない単語が次々と出てきて、そのたびにメモを取ったり、意味を調べたり、友達に聞いたりをひたすら繰り返していました。私は本当に素敵な友達に恵まれました。わからないことが悔しくて泣きながら勉強したというより、友達がまるで赤ちゃんを育てるように、根気強く毎日私と話してくれました。今、ある程度自信を持ってスペイン語を話せるようになったのは、間違いなく彼らのおかげです。本当に「持つべきものは友」だと実感しています。感謝してもしきれません。あと、これはどんな言語を学ぶにしても共通して言えるなと思う大切なことなんですが、どんなにへったくそな文でも自分の意見を言葉にして主張することです。私はどんな些細なことにでも自分の意見が必ずあって、それを必ず言葉にして言います。日本だとこういうタイプは面倒くさがられますが、メキシコではむしろそれが当たり前です。自分の意見を言わない子には、誰からも興味を持たれません。逆に頑張って何かを言おうとしてる子には必ず耳を傾けてくれます。私も最初は全くスペイン語が話せませんでした。でも、同じ地域に配属されたイタリア人の留学生3人ととても仲良くて、みんなイタリア語訛り、いや、イタリア語混じりのスペイン語で「ゆりだからこうこうこうだって!」ってガーガー言ってくる日常で、私も負けじとへったくそなスペイン語で「いまは私の意見するターンだから黙ってて!』とかいってみんなでギャーギャーガーガー言っていました。もちろん私はイタリア語なんてスペイン語よりも全く分からないので、時には「何言ってるか全然分かんないからスペイン語で話してよ!」って日本語で返していました(笑)。
私が言いたいことは、大事なのは『完璧に話さないと』じゃなくて、ちゃんと自分がどう思っているのか、相手がなんか言ってきたら光の速さですぐ「私はこう思うぞ」って主張することです。それが話すための原動力なんです。話さないと何も始まらないので。だから、もともとそういう性格だった自分を褒めてあげたいです。
最近の勉強法は、朝の登校準備をしながら子ども向けのYouTubeやアニメを見ることです。ちなみにお気に入りは『プリンセスソフィア』と『スポンジ・ボブ』です。私は昔から机に向かってひたすら勉強するスタイルが本当に苦手で、続いた試しがありません。だからこそ、この勉強法は私にとって革命でした。単語帳をとりあえず頭に詰め込むだけの勉強法だと、私の場合、実際にどういう場面で使うのかイメージが湧かなくて、あまり頭に入ってこないんですよね。それに私はテストのために勉強しているというより、実際に話せるようになるために学んでいるので、ただ文法や単語を詰め込むだけの勉強法は、自分の学習目的にはあまり合っていないんですよね。だから子ども向けのアニメを見たり、現地の子たちが話しているショート動画をひたすら見たり、好きな歌の歌詞を書き出して意味を調べたりしています。この方法だと、自分の興味のあることから学べるので「勉強している」という感じがあまりしません。勉強が苦手な人ほど、どうやって自分をうまく騙して楽しく学ぶかも大事だと思います。私にはこの勉強法とても効果的です。アニメはキャラクターの行動がわかりやすいので、言葉の意味がわからなくても、動きや状況から「この単語はこういう意味なんだな」と自然に理解できます。そしてアニメだと聞くだけでほとんど内容がわかるので「え、私できるじゃん」って言う感じでとても自己肯定感が上がります。言語学習はどれだけ自分の自己肯定感を上げて学習するかが肝だと思っています。毎朝30分ほどですが、その積み重ねは大きいと思います。30分でも続けることが大切です。結局、5時間勉強しても1日で終わってしまったら意味がありません。30分を10日続ければ、それだけで5時間に追いつきます。語学を学ぶには続けることが何より大事だと感じています。
もちろん、どんな言語を学ぶにしても文法や文章の仕組みを理解することは、会話ができるようになるために欠かせないことですし、そのために参考書を読むこともとても大切だと思っています。実際、最初に来た頃は授業の内容がほとんど分からなくて、「ただぼーっと授業を聞いているだけだと、理解できるようになるまでにかなり時間がかかりそうだな」と思ったんです。そこで校長先生に直接お願いして、私だけ授業中にスペイン語を自習する許可をもらいました。とはいえ、ずっと真面目に勉強していたわけではなくて、3分の2くらいは友達とおしゃべりしていました(笑)。でも先生が近くに来た時は、しれっとスペイン語の本を開いて勉強していました。今でも時間がある時には参考書を読むようにしています。少なくとも、何もしないよりはずっといいと思っています。
そしてこんなことを繰り返していると日本語を本当に忘れてしまいます。冗談でも格好つけているわけでもなく、本当に言葉が出てこなくなるのです。「あれ、なんて言うんだっけ」と考える時間が増えました。毎日日記を書いているのですが、簡単な漢字が思い出せなかったり、カタカナが書けなくなることもざらにあります。この前は「のり」という単語が思い出せず、「これ日本語でなんて言うの?」と聞かれた時に答えられませんでした。その時は「お前は何人なんだ」と笑われました。
そういえば、スペイン語の夢を見るようになりました。初めて見たのは、来てから3か月半くらい経った頃だったと思います。嬉しすぎて、夢の中でも喜びました。
あと1か月で帰国です。
大変なことも、もちろんたくさんありました。でも帰りたくないと思えるほど大好きな人たちに出会えたことは、きっと一生の財産になると思います。そんな方達と出会えたことを感謝して残りの留学生活楽しみます。
